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呪い・祟り

えっちゃんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

歪んだ土鈴
短編 2026/06/29 15:24 76view

寺に行こうと乗った電車は、夕暮れ時の電車だった。なので、車内はひどく混雑していた。私はバッグを胸に抱え込むように、そして音がならないようにして座っていた。不意に、電車の急ブレーキとともに、車内の電気が消えた。完全な暗闇。その静寂の中で、私の胸元から、聞いたこともないほど澄んだ、美しい音が響き渡った。
「チリン」
と。その音を聞いた瞬間、心臓が跳ね上がった。音が鳴るはずのない土鈴が、鳴ったのだ。しかも、バッグの中で、何かが激しく暴れて鈴を鳴らしている。その時、パッと電気が復旧した。安堵したのも束の間、私は息を呑んだ。満員だったはずの車内から、乗客の姿が消えていたのだ。誰もいない。ただ、私の目の前の吊り革に、何十人もの『顔』がぶら下がっていた。皆、あの土鈴と同じように顔を不自然に歪ませ、充血した目で私をじっと見下ろしている。
「ナカミ、出たよ」
天井から降ってきた声と同時に、私のバッグが内側から勢いよく弾け飛んだ。中から現れたのは、ひび割れて完全に砕けた土鈴。そして、その破片の隙間から、おびただしい数の『人間の指』が、生き物のように蠢きながら私の首に向かって伸びてきたのだ。
「うぁああああああああ」

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その日以来、そのライターの行方を知る者は誰もいない。ただ、彼が住んでいたマンションの部屋からは、今も、夕暮れ時になると、誰もいないはずの室内から
「チリン……チリン……」
と、誰かを誘うように鈴の音が聞こえてくるそうです。

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