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不思議体験

ドライアイスさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ケンジだよ。
短編 2026/05/15 13:28 113view

次の日の朝、ばあちゃんは死んだ。
医者は老衰だって言ったけど、遺体を見たとき、俺は腰が抜けた。
ばあちゃん、中身が空っぽみたいに縮んでて、重さが全然なかったんだ。

葬式が終わって、実家の蔵を整理してたら、一冊の古いノートが出てきた。
その中に挟まってたケンジの写真。
それを見て、俺は自分の顔を掻きむしりたくなった。

写真の中のケンジは、今の俺と全く同じ場所に、同じ形の「アザ」があった。
昨日までなかったはずの、俺の首筋にあるアザと。

そして、ノートの最後のページ。
殴り書きでこう書いてあった。

『ケンジは死にきれなかった。ずっと器を探してる。
名前を呼ばれて、本人が「そうだ」と答えたら、そこが新しい家になる』

いま、部屋の電気がチカチカしてる。
さっきから、閉め切ったカーテンの向こう側で、「ズリッ、ズリッ」って、泥を引きずるような音がしてる。

「おかえり。……ケンジ」

ばあちゃんの声だ。

でも、天井から聞こえてくる。
手の甲を見てみる。
ばあちゃんに掴まれた指の跡が、さっきより濃くなってる。
これ、アザじゃない。
皮膚の下で、何かが動いてるんだ。

誰か、助けて。
俺はタカシだ。ケンジじゃない。
でも、鏡を見ると、知らない男が俺の口を使って笑ってる。
「苦しくなかったよ」って、ずっと、ずっと呟いてるんだ。

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