俺は軽く頭を下げて、自己紹介とかするべきなのか? みたいなことを考えてると、遊佐は先に靴を脱いで母親の隣に立つ。
「……いいのね?」
「うん」
他人の俺にはわからない親子の会話を聞きながら、脱いだ靴を揃えて向きを変える。
2人の方を振り向くと、遊佐は母親に抱きしめられていた。
「私はあんたの味方だから。あんたが決めたことは、全力で支える」
「お母さん。ありがとう」
俺には何がなんだかわからないけど、親子仲がいいのは普通にいいことだよな。
2人は数秒後には離れて、母親は俺を見つめる。
優し気な、でもどこか恨めしいような。
少しだけ、憎しみみたいな感情がこもった視線だった。
「杉崎くん」
「え? あ、はい」
なんで俺の名前知ってるんだ?
もしかしていつも話題に出てるのだろうか。
女の子って母親と好きな人の話とか普通にするって誰かが言ってたし、遊佐もやっぱりその辺は普通の女子なんだろうな。
「めぐみのこと、よろしくね」
俺は何も言い返せなかった。
え、これって俺もう遊佐と結婚する感じになってるの?
いや、結婚とかは大袈裟にしても、付き合うことは確定?
いやいや、だってまだ告白もしてないんだぜ?
というか、あれ、俺って遊佐のこと好きなんだっけ。
「……杉崎、あたしの部屋行こ」
固まってる俺の手を引き、階段を上っていく。
ああ、なんか情けないな。ここでも女子にリードされてる。っていうか、気を遣わせてるよな。
少しは大人になったはずなのに、先輩に顔向けできないわ……。
遊佐の部屋は、普通の女子中学生の部屋だった。
でも、可愛らしい小物とかはあんまりなくて、ぬいぐるみとかも小さいウサギだか何だかわからない生物を模したやつが1つだけ。
……それでもやっぱドキドキする。
これが女の子の部屋かぁみたいな顔だけはしないように、俺はキリっとした表情を作るんだけど、隣でそれを見てた遊佐が吹き出す。























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