19歳の誕生日まで後8分なのをスマホの時計で確認しながらもしかして光輝君からおめでとうのメッセージがあるかも……あーでもそれは流石に期待し過ぎかなぁいくら何でも日付が変わった瞬間におめでとうとか付き合ってもいないどころか片想いでしかない身で期待するのは図々しいにも程があるのは分かってはいるけどそうは言ってもやっぱり期待してしまう自分がいてそんな気持ちを抑えることはできないしという葛藤がありつつ大して面白くもない中途半端な芸歴の芸人が数人でわちゃわちゃしている番組を流し見していた23時52分に3階建ての2階に位置する私の部屋の窓ガラスが割れる。
「……え?」
飛び込んできた、手の平にちょうど乗るくらいの大きさの石を茫然と眺め、疑問符を浮かべることしかできない私の耳に耳障りな声が届く。
「やべ」
私は目を閉じ深く息を吐き出しながら立ち上がり、ゆっくりと窓際へと足を向ける。
「あ……」
悪戯が親に見つかった子供じみた情けない顔をした男が小さい声で「いや、ごめん」と顔の前で手を合わせている。
「ごめんで済むかぁボケカス! 死ね!」
もうかなり深い時間であることを忘れ、我が家の前に立っている電柱に身を隠そうかどうしようかと困り顔で迷っている、いかにも頭の悪そうなチャラついた髪形をした男……夢野克哉に私は大声で罵声を浴びせる。
「や、違う違う。偶然なんやってほんまに」
「偶然? お前が自分の意思で私の部屋にこの石投げこんだんやろが!」
私が投げ返した手の平サイズの石が右腕に掠りそうになり「あぶね」っと大袈裟に避ける素振りが私の怒りに油どころかガソリンを注いでしまう。
「お前ほんまどんな神経してんねん! 絶対しばくからな!」
「ちょ……声、落として落として。もう夜やから」
「ああん? 大声出させとんのは誰のせいや! 今から殴りに行くからそこで待っとれ!」
「ちゃうて! ほん、聞いて―――」
「じゃかましゃクソガキども! 殺すぞおどれら!」
斜向かいに住む忍冬さんちの親父さんは建設業を営むおじさんなのだけれど、噂では暴力団組員であるらしく、喧しく言い合う私たちの声が大層気に障ったご様子で、私の数倍は大きいであろう肺活量を駆使して恫喝よろしく私達を叱る。超怖い。
「あ……ごめんなさい……」
顔も名前も知られているので逃げも隠れもできない私はあまり大きな声を出さないように、でも相手に聞き取れるような微妙な匙加減で謝罪を口にするのだけれど、彼は暫くこちらを睨みつけながら殺意盛り盛りの言葉を呟いてるのが聞こえてきてそれもやっぱりめちゃめちゃ怖い。
「ったくほんまガキらは……」
ぶつぶつと文句を続けながら引き戸をピシャリと大きな音を立て閉める。
「こえー」
ゼリーのように震えている夢野に私は小さい声で、でも苛立ちをはらませながら問う。
「で、ほんまなんでなん? 事と次第によっては真面目に出るとこ出るからなぁ」
「いや、ほんまにごめん。ほんまに悪気はなくて、ただ気づいてもらおう思ってな」
「何にやねん」
「俺に」
「はぁ?」
「いやほんまに。だってあれやん、もうすぐ誕生日やん、自分」
「……」


























愛だね( ꈍᴗꈍ)