目の前の鏡に映っていたのは、傷だらけの顔、穴だらけの白いワンピース。
ニタニタ笑ってるんだけど、その左目にはハサミが刺さって、血まみれだった。
鏡に映るハサミ女は、そのハサミを引き抜いて自分の首筋に刃を当てた。
俺に見せつけるようにゆっくりと刃を動かしてたかと思うと――
一気に切り裂いた。
血がドクドクと流れて、穴だらけの白いワンピースを赤く塗り替えてた。
あの時の感覚は霊感だったのか恐怖だったのかよく分からなかった。
ちょっと視界が歪んだかと思ったら、耳元で声が聞こえた。
鏡を見るまでもなかったけど、ハサミ女が俺のすぐ後ろに映ってた。
そこで目を覚ましたんだ。
自宅の机で突っ伏して寝てたらしい。
めちゃくちゃ怖かったから、夢だとわかって安心してた。
ものすごい寝汗で、何か飲もうと思って台所に行ってさ、嫌な感覚があると思ったら、包丁を首筋に当ててた。
夢じゃなかったんだよ。
そのあとも何度か先の尖ったものを目に向けてたし、刃物を首に当ててた。
霊感のおかげでギリギリ何とかなってるけど、それもいつまで持つだろうな。
今思えば、あの散髪屋が開いていたのも俺が入ったのも、ハサミ女に呼ばれてたのかもしれない。
もうどうでもいいことだけど、出会ったら死ぬって言われてる話が伝わってる理由がわかった。
俺みたいに死ぬ一歩手前のやつが書き込んだんだな。
でもさ、噂なんてアテにならないことも覚えておいてくれ。
ハサミが刺さって死ぬって言われたけど、俺は首を切って死ぬ。
あと、左目も突き刺す。
道具もハサミとは限らない。
今も、あの時のハサミ女の姿が脳裏に焼き付いて離れない。
ニタニタした表情、傷だらけの顔、穴だらけの服、薄暗いのに鮮やかに見えた血の赤。
あとさ、あの時のハサミ女の声も耳から離れないんだよ。
「できるよね?」って。























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