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不思議体験

筋首さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

幸福恐怖症×不幸まき散らし症候群
長編 2026/04/27 20:13 290view

あの瞳は、私の瞳でした。
鏡の中の私より、ずっと私らしい瞳でした。
だから余計に怖かった。

その子は、私の幸せをじっと見ていました。
「それ、似合わないよ」

そんな声が聞こえた気がして、
私はイヤホンを耳に押し込んで、
あのアーティストの曲を流しました。
軽いのに重い、甘いのに苦い。
あの独特の浮遊感に逃げ込むように。

でも曲が流れるたびに、子供の影が揺れては増えて、私の後ろに立つ私の数が増えていきました。

視線が増えました。
足音が増えました。
私が増えました。

善い私が笑って。
悪い私は黙って。
どちらの私も私じゃないみたいで。

本物の私はどこに行ったんでしょうね。
……あ、もしかして最初からいなかったのかも。

善の私は、軽やかで、
悪の私は、毒があって、

アーティストの私は、笑わなくて。

三人とも私で、
三人とも私じゃなくて、
三人とも彼の前に立ちたがっていて。

「あなたは似てるよ」
アーティストの私が囁きます。
「似てないよ」
本物の私は否定します。
「似せればいいの」
悪い私が笑います。
「似せなくていいよ」
善い私が泣きます。

4/6
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