私はどれでしょう。
どれでもないのでしょう。
どれでもいいのでしょう。
彼が好きになったのは、きっと私じゃなくて、私に似ている方の私……。
—
彼が無理していたのは知っていました。
彼は疲れた顔を見せるようになりました。
アーティストの女性と私を重ねたりするから。
私は、私に似せた私なんかにはなれない。
私はただの表情の乏しいオカルト好きの
面白くない女。
私なんかに付きまとうから、
友達まで無くして非難もされて。
彼はバカですよね。
私もバカ。バカバカバカ。
別れようと言ったら、彼は言いました。
バカなこと言うなって。
でも私は見ました。
あの一瞬の、息を吐くみたいな彼の安堵した顔。
あれは嘘じゃない。
私の幻覚でもない。
彼は少しだけ涙ぐんでました。
私に見せまいと意地を張っていました。
でもその仕草が却って誤魔化してるように見えて。
誤魔化してたのは何?
嬉し涙ですよ。
別れを切り出してありがとう……そう言ってるんじゃないかって。
いや、違う。違うけど、違わない気もして。
—
自由になった私は、元に戻っただけ。
釣り合わないものを手にすると、ただつらくなるだけで。
ごめんなさい。
ただ、ごめんなさい。
理想の彼女じゃない、こんな私なんかで。
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