友達も失ったでしょうね。
私と同じになっちゃった。
友達の数対決でもします?
彼は可哀想だけど、ちょっぴり嬉しくなるなんて。
私は酷い女……。
—
「この音楽のアーティスト知ってる?」
彼がスマホを見せてきたとき、
画面の中の女性は笑っていませんでした。
ずいぶん前の音楽ユニットのようですが古臭さはなくて今でも十分通じるビジュアルだと思いました。
笑っていないのに、かわいくて。
気だるくて、眠そうで、でも刺さるような目をしていて。歌も良い。
あぁ、こういう人、いるんだ……って、胸がざわつきました。
「ヴォーカルの女性が君に似てるんだよ」
「似てないよ」
「似てるって。雰囲気が」
彼は笑ってました。
私は笑ってませんでした。
画面の中の彼女も笑ってませんでした。
空気だけが軽くて、まるでポップな曲のイントロみたいに。明るいのに暗い、軽いのに重い、そんな感じで。
そのヴォーカルの女性は私の中で増殖しました。
画面の中から抜け出して、私の影に寄り添って、
私の声を真似して、気づいたら私より私らしくなっちゃってて。
私の表情を奪っていったのです。
—
私の中では、妄想が勝手に進みました。
彼との子供を産んで、公園で遊んで。
でもその子は私に似ていて、かわいくなくて。
どこか達観した瞳で私を見下していて。
この話は怖かったですか?
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