ここに来た人は、初めに名前を忘れられる。
次に、自分でも名前を忘れる。
そうして最後には、ずっと前からここにいたものになる。
大学の人たちは、この土地を返すのだと言っていた。
でも、少し違う。
建物も、名前も、その上を歩いた人たちも。
借りていたものを、返してもらうのは私たちの方だ。
遠藤君が、開いたままの工事用ゲートをくぐった。
土の上に残った足跡は、途中から内側へ沈んでいた。
前のページ
6/6
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 6票
























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。