ご近所ママさんたちが小さな公園に集まって、ひそひそと何やら話し込んでいた。
いつもなら小さい我が子を遊ばせながら、楽しい会話に時も忘れているのだが、
この日は誰も子供の手を放そうとしなかった。
重たい空気が流れる。
・・・いつもならここに参加しているはずのY子さんが、
この日は姿を見せていなかったからである。
・・・この日だけではない。もう二度と、Y子さんは皆の前に姿を現すことはない。
先日、自宅にいるところを暴漢に襲われ、彼女は亡くなってしまったのだ。
旦那のいる目の前での惨劇だったらしい。
「怖いわよねぇ・・・」
「だから荷物をお届けに、なんて言われても、チェーンロックは絶対必要なのよ」
「簡単に開けちゃダメね」
「旦那さんもご在宅だったんでしょ? 旦那さんが先に出ていたらこんなことには・・・」
みんなで恐ろしい事件のことを話していた。
その時である。
「キィィィィイ ピロロロ ピロロロ ムカシムカシアルトコロニ キュイ」
みんながハッとして木の上を見つめた。
そこには一羽のオウムがいた。オウムがモノマネしながら鳴いていたのである。
「アレ、Y子さんが飼ってたカイ君じゃない?・・・そうよ、カイ君だわ」
「うん、間違いない。たぶん事件の時に鳥かごが壊れて、逃げたのね」
「どうしましょう・・・捕まえるったってねぇ・・・」
そう言いながら、みんなでカイ君の方を見ていた。
カイ君がまた大声でなにかのモノマネを始めた。
「ピンポーン ピンポーン お届けものにうかがいマシター・・・」
「はーい今行きまーす・・・」
「ねぇ聞いた?今の声Y子さんそっくり」


























Manaです。
こちら、ずっと以前に書いた「オウム」というお話を加筆修正したものになります。
加筆修正と言っても、実は見比べていただくとわかるんですが、大幅に変えてありますので、
まるで新作のような作りになっています。
冒頭の公園の空気感、亡くなった飼い主のペットの登場が、救いではなく恐怖の引き金になっている。真相の暴露、そして日常の崩壊。
そんなところですかね。・・・また、恐怖をお楽しみください。