私は昔から怪談や心霊モノが好きで、怖い話特集の雑誌を作る仕事をしている。そしてある日、大量に送られてきた心霊写真のうち十数枚を雑誌に載せることとなった。私は、こんな大量の心霊写真を扱って、呪われないか少しだけビクビクしていた。すると、投稿主不明のとある写真を見つけた。それは、髪の長い女性が駅のホームにただ無表情で立っているだけの写真だった。
私「…これ、特に幽霊写ってないな…」
私はただ女性が突っ立っているだけの写真が不気味でありながらも何故か懐かしく感じて、その写真を無言で鞄に詰め込み、持ち帰った。
それからだった。
視界の端に、その女性が立っている。ふと、顔の向きを変えた一瞬に視界に入るが、驚いてもう一度その場所を確認するとそこには何も居ない。最初はかなり遠くに居て、見る頻度も少なかったので私が疲れているだけだと思っていた。けれど、それは少しずつ近づいて一日に何回も見る様になった。怖くて仕事に行けず、部屋に籠る様になる。
私「…なんで私の前に現れるの…?…貴方は誰なの…?」
私は、そう写真の女性に話しかける。そこで、私は気づいた。
私「駅の名前が写ってる…」
そこは「Y駅」という駅だった。怖いながらも、私はその駅に向かうことにした。時刻は夕方。私は電車の扉の近くに立って、淡い琥珀色の空を眺めていた。
「…ぎは…Y駅ー…」
…私は立ったまま寝ていた様だった。Y駅に着いて、慌てて私は電車から降りる。
…懐かしい。
そんな感覚があって、何故か涙が頬を伝った。私は何か大事なことを忘れている。
駅のホームを見渡したが、結局のところ何も分からなかったし、何も思い出せなかった。また電車に揺られ、家に着く頃にはもう空は暗くなり星がちらちらと燐光を発していた。
家に帰っても、写真の女性が気になって気になって仕方がない。ご飯も喉に通らず、この日は何も食べずに寝た。
…気づくと私はY駅に居た。…あの女性の立っていた場所に。
「間もなく、電車が参ります」
電車にアナウンスが入る。そして、私は線路へ力無く飛び込んでいった。
…そこで目が覚めた。妙に現実味を帯びた夢だった。
私はネットでY駅の人身事故について調べた。
私「2003年 四月七日、Y駅で 松村 舞(28)さんが線路に飛び込み亡くなった…」
私は、Y駅へ行かなければいけない気がする。私は走って電車に乗った。しばらく乗ってY駅に降りる。すると、あの女性の立っていた場所に花束が置かれて居た。
私「…そうだった。なんで忘れていたんだろう。なんで気づかなかったんだろう。」
涙がぼろぼろと流れて、灰色に曇っていた記憶が少しずつ鮮明になってゆく。
松村 舞(私)「…ずっとずっと、あれは私自身だったのに。」
























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