だが、そう思った次の瞬間にそれがおかしいことに気付いた。
まず、足音の数がおかしい、明らかに数十人はいるであろう数が聞こえる。
いや、それ以前に…旅館の3階のこの部屋に…
あんな小さな鈴の音がこれほど鮮明に聞こえるはずがない。
ましてや雨と風の音がこれだけ大きいなら尚更だ。
窓から外の様子を伺ったのだが、外の光景を見て背筋が凍りついた。
なんと、海から旅館に向かって何十人もの人らしき何かが1列に歩いているのだ。
そして、旅館の軒先辺りで薄くなり…消えていくのだ。
眠気も酔いも一気に覚め布団に包まり震えながら朝を迎えた、翌朝には嵐は完全に過ぎ快晴であった。
旅館をチェックアウトする際、旅館の主に昨夜の事を聞いてみた。
『はて?昨夜は嵐で外に人など出てはいなかったはずでございます。
昨日はお客様以外に当旅館を訪れた方はおりません、雨や風の音を聞き間違えたのではないでしょうか?』
やはり旅館の主も知らないと言う。
しかし、何かひっかかるので更に食い下がろうとしたが
『お客様、昨夜は何もありませんでした』
と旅館の主にきっぱりと釘を刺されてしまい、それ以上聞くことは出来なかった。
旅館を出る際、主の目が”これ以上詮索するな”と言っている気がして寒気がしたと、後に語っている。
前のページ
2/2
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 0票























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。