又聞き話です。
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お話ししてくださった方の名前を仮にAさんと呼ばせてもらいます。
Aさんは当時大学生で、就職活動でインターンとか、説明会に足を運んでいたそうです。
その日、Aさんはある企業の二次面接の会場が新宿の方にあるからということで、新宿に向かったそうです。
で、その時の新宿駅って工事をしていたんですね。西口の方とか特に。工事の足場とか、内部のよくわからない配線とか、ちょっと見えるところがあるんです。
そう言った場所にAさんが何気もなしにふっと目線をやると何かいることに気がついて。
Aさん、その時はそれがなんなのかわからなかったそうなんですけど。
よく目を凝らしてみると、喪服の女だったと。小さい手を握っているんですけど、手の主は暗闇で分からなくて。
これはまずいものを見てしまったと、直感で感じて固まっているAさんに向かって、女はぬぅっと繋いでいる手とは逆の方の手を伸ばしてきて。手の甲をゆらゆらと揺らして手招きしたそうです。
「おいでー。おいでー。」
あ、これは人間じゃないな、と理解したそうです。
声がまるでラジオのような、ノイズが入ったような単調な声で。とても人の声帯から出る声ではないと思ったそうです。
Aさんはそこから見なかったふりをして。面接会場に向かったそうです。
で、面接会場に逃げている間の話なんですが、新宿の西の方ってビル群じゃないですか。だから、景色なんてビルで遮られて見えるわけないんです。それなのに、駅からアイツが来ていると思ったそうです。
これがさっきのような直感ではないのだというんです。Aさんには喪服の女が寄って来ているのがクッキリ見えたそうなんです。
しかも、遠くから向かってきているというわけでもなく。こう、写真に無理やり人をくっつけたような、コラージュのような。遠近法を無視している、というのが一番端的でしょうか。
それで現在は社会人のAさんには今もその女がこちらに向かっているのが見えているそうです。
一歩、また一歩。ゆっくりゆっくりと年を経るごとに女が近づいているとAさんは話してくれました。
幸いなことに足は遅いようですが、いつ追いつかれるのか、そして追いつかれたらどうなってしまうのか、Aさんは今も怖くて怖くて仕方ないそうです。























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