アパートは寝るだけの場所。
※※※※※※※※※※
その日も仕事を終えたSは、午後7時33分の地下鉄に乗った。
入口ドア近くの椅子に座ると、腕組みし目を瞑る。
やがて電車の走る振動音が、心地よい揺りかごになっていく。
そしてどれくらいが過ぎた頃だろう。
ハハハハハハ、、、
突然すっとんきょうな笑い声が耳に飛び込んできた。
ハッとした彼は顔を上げる。
そしてドキリとした。
正面の椅子に座っている白いワンピースの女。
Sの方を指差しながら長い黒髪を上下に振り乱し、狂ったように笑っている。
口から白い泡を垂らしながら。
耐えきれなくなった彼は顔を真っ赤にしながら女に向かって叫ぶ。
「あんた、いったい何がおかしいんだ!?」
女はしばらく笑っていたがやがて無言になった。
それから徐に立ち上がるとゆっくり歩き、
Sの正面に立つとボソリと呟く。
「だってあなた、、もう死んでるじゃない」
※※※※※※※※※※
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 5票























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。