Sは最近笑う女の夢を見る
薄い紫色の鱗雲が広がる空の下。
女は彼を指差しながらただ笑っている。
白髪混じりのボサボサの髪を上下に振り乱しながら、狂ったように笑い続けている。
年の頃は50から60くらいで、白装束姿だ。
背後には朽ち果てた廃屋。
Sはその正面に立ち、女を見ている。
やがて彼の心の奥底から沸々と怒りがこみ上げてくる。
そして女にゆっくり近づくと、
「いったい何がおかしい?」と詰め寄る。
すると彼女は息も絶え絶えこう言うのだ。
「だって、、、
だって、、、、、、、
あんた、、、、、、、
、、、、、、、、、、
もう死んどる」
ここで彼は目が覚める。
※※※※※※※※※※
アパート⇒地下鉄⇒会社⇒地下鉄⇒アパート
Sはそんな生活を十数年続けていた。
趣味はない。
夢もない。
もちろん彼女もいない。
会社は仕事をするというか、しているふりをする場所。
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