地下鉄を降りた後、Sは二車線の国道沿いの歩道をとぼとぼ歩いていた。
横手を乗用車やバス、トラックが次々通り過ぎていく。
途中けたたましいサイレン音を響かせながら、猛スピードで救急車が走り去った。
彼は住宅街に通じる道に曲がる。
それから一人路地を歩いていた。
暗いアスファルトを街灯を頼りに歩き進む。
そして何度めかの曲がり角を曲がった時だった。
どこからだろうか?
また女の笑い声が聴こえてくる。
ハハハハハハ、、、
彼は立ち止まると声の出所を探し、辺りを見回した。
そして気付く。
そこは数メートル先のブロック塀向こうに見える一軒の廃屋。
声はそこから聴こえていた。
Sはブロック塀沿いを歩き、恐る恐る金属の門の隙間から敷地を覗く。
そして「あっ!」と小さく悲鳴をあげた。
鬱蒼とした雑草に覆われた二階建ての廃屋。
その玄関前に女が立っている。
白装束にボサボサの黒髪。
狂ったように笑っている。
ハハハハハハ、、、
俺は門を開くと、雑草を掻き分けながら女のそばまで行った。
女はひとしきり笑うと、しばらく黙り込んだ。
そして皺だらけの顔をSの顔に近づける。
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