出してくれたお茶を飲みながら、お婆さんに言いました。
「実はですね。僕・・貴方達が来ることを知っていました。教えてもらっていたんです」
と言うのです。
お婆さんたちが尋ねて来る二日前に夢に巫女さんが現われて「もうすぐ社を治してくれと
言う集落の人たちがやってくる。受けてあげてほしい・・」と言われたのだそうです。
「わたしは社の守りだが、この度の大雨でなんとか村人は守れたが住処が壊れてしまった
集落の人たちがなんとか治してくれるらしいから頼まれてほしい」
と言い、宮大工は夢で「はい、きれいに治しますのでご安心ください」と答えてしまった
驚いたお婆さんに「よくあることなんですよ」と若い宮大工は言うと、それからも毎日
少しづつ一人で修理していく、ところが毎晩の夢に巫女さんが現われて宮大工にいろいろ
と集落の事を教えるようになったのです。
「あのですね。五年前に作った梅酒を茶碗にいれて持って来てほしい。と言ってました」
「餅を楽しみにしてる」「下の家のお爺さんを病院に行かせるように」「あの家の屋根を秋まで
に治しておけ」と言うお婆さんへの伝言を宮大工に夢で教えるのです。
「婆さんに語り掛けてもまるで聞こえないのだ」が理由だそうで、お婆さんは信心があるけど
神様の事を漠然と考えていてイメージや姿を想像もしたことが無い人には神の声は聞こえない
のだそうです。むしろ宮大工のように身近に神を感じてイメージできる人には声が聞こえる
「五年前に漬けた梅酒??あああ・・あるある」とお婆さんは茶碗に入れて社にもっていく
のでした。
そして神様は残念な事も宮大工に教えてくれます。
「お婆さんはこの場所から動けないそうです。息子さんとは一緒に住めないんですって
理由は、お婆さんの御先祖が今の社の神だからだそうです。」
「そうかい、でも構わないよ。ここで1人で暮らしてここで死ぬのは決めてるから」
「でもね。ものすごく感謝してますよ。あなたの事が大好きだと」
「じゃ、一度でもいいから姿を見てみたいものだね」
そんな日々も過ぎて 社が山の木々で新しくなり、白木の扉をつけて完成したのでした。
その日の夜は集落の住人が社の前で酒を呑み歌を唄い、若い宮大工もその輪に入って
いました。「明日はかたずけをして終わりましたら失礼します」と言うと村人は
感謝の言葉を次々と若い宮大工に掛けます。
村人が去り、静かになった社の前をお婆さんが箒で掃除していると、宮大工は社の扉を























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