が、その瞬間部屋の電気がブンと音を立てて消え、真っ暗になった。
「え?」
よく見ると真っ暗ではない。前方に友人のゴーストのカートが見える。
まるで実物大のクルマのように。
「え?・・・え??」戸惑いながらそれを見ていると、カートから友人が降りて来た。
「あ~助かったよ、1位おめでとう」
夢でも見ているのだろうか。半透明になったゴーストの友人が近づいてくる。
「お、おま、おま」言葉が出ない。やつは最後に分かれた時のままの小学生の姿だった。
友人が何か語り出した。
「実はボク・・・中学には行かなかったんだ。自殺未遂をしてね。実は今も病院のベッドの上なんだ。でも、これでやっと天国に行けそうだ」
「な、なんだって・・・」
「ずっとこのゲームの中で走ってたんだけど、今度は君が1位だろ?ようやくボクの魂もここから抜け出せるってわけ。うん。楽しかったよ最後のゲーム。じゃああとはよろしくね」
そう言って、友人は消えて行った。
「えっ?オレ・・・もしかして、あいつの替わりにゲームに閉じ込められるってこと??」
このゲームを誰かが遊び、オレのゴーストをやぶって新記録を作らない限り、
この世界から出る方法はないらしい。
「そ、そんなバカな!!」叫んでみてもその声はどこにも届かなかった。
・・・・・・・・・・・・
S大学病院に救急の患者が運び込まれていた。中学生男子。部屋で昏睡状態なのを母親が発見。当時はテレビゲームで長時間遊んだ後だったようだ。
看護師がつぶやく。
「ふ~、先生、また同じ症状ですかね。昼間同い年の子が同じような症状で亡くなったばかりだって言うのに」
「シっ、めったなことは口にするなよ。ご家族の耳に入るとやっかいだ」
「すいません。・・・先生、病室ですけど・・・ちょうど空きましたし、あの子のいた部屋でよろしいでしょうか」
「ああ、いいよ。オペレーティングもそのままいけるし、一番いいだろ」
・・・・・・・・・・・・
誰もいない真っ暗な空間でオレは叫び続ける。
(誰かゲームを! ゲームをしてくれ!! オレをここから出してくれぇぇぇぇ!!)






















※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。