これは中学生になってはじめての冬休みでの出来事。
久しぶりにカートレースで遊ぶことにした。
実は友人から借りパクしたものだ。
小学校時代のことだからもう時効だろう。
アイツは根暗で気弱で友達もいないようなやつだった。
だからオレが遊んでやってたってわけ。
ゲームだけは強かったな。一緒によくゲームしたものさ。
アイツからはいろいろゲームソフトを借りたよ。
そのうちのいくつかはまだウチにあるけどね。
いつかは返そう・・・とは思ってたんだけど、
卒業して別々の学校へ進学して、そのまま借りっぱなしになって、
今に至るってわけ。
まぁいいじゃないか。そのうち返すって。クリアしたら返すって。
そう独り言を言いながら、電源を入れた。
ゲームが始まる。
なかなか難関コースだ。
壁走りなんてテクもあるらしい。
一通りやってみて、けっこうな難しさに汗が出る。
そうだ、このコースの1位のやつのゴーストでも見てみるか。
1位のやつ、それは友人だった。
オレは驚いた。
「ええーーー!!こんなトコ走るのかよ!!」
「それ、ここで壁走りだ!!・・・あれ?しないの??・・・しない方が早いのかよ!!」
「くっそー!!」
オレはだんだん闘志がわいてきた。あんなクソ雑魚の友人に負けてらんねぇ!!
ゴーストと並走できるモードを選び、友人のゴーストと何度も何度もゲームをする。
勝てない・・・あと少し、あともう一歩、もうちょっと・・・。
そこから三日三晩徹夜でもするかのようにチャレンジしつづけ、
そしてとうとうその日がやってきた。
「やったぁぁぁぁぁぁ!!」
やつのゴーストを追い抜き、自分がこのコースの1位になって、記録を塗り替えたのだ。
思わずガッツポーズをあげた。

























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