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不思議体験

キミ・ナンヤネンさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ある慰霊碑に行った時の話
長編 2025/11/02 22:51 2,513view
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ガクッ

突然車が止まった。

「どうした?何かあったか?」

「いや、何もないのにいきなり止まったんだ。」

俺は車の画面を見ると、自動ブレーキが作動したと表示がされていた。

「自動ブレーキ?何もないし誰もいないぞ…?」

通常の走行では、自車を中心に、大きな道路だったり信号だったり、もちろん巻き込みや飛び出しの注意のために人物に対しても、簡易的だが立体的なグラフィックで表示されるのだが、こんな山道では当然ながらそんなものは表示されていない。

しかし画面には、周りの木々に隠れているが、この車を囲むように何人もの人物の反応があるのだ。

「こんなところに人が…?」

「しかも5人…いや7人くらいいるぞ…。」

しかし、その姿は肉眼では見えない。

俺は暗視カメラのファインダーを覗いてぐるっと車の周りに向けると、ほとんど白黒ではあるが、うっすらとカラーで表示されるファインダー越しに見えないはずの人間が見えた。

「ど、どうなってんだよこれ!」

Kは画面に写ってる人影が、いくら目を凝らしても肉眼では見えないことに少し混乱していた。

人影は、画面上ではゆっくりとこの車に近づいていた。

このままではいずれ「彼ら」に囲まれるだろう。

俺の暗視カメラ越しにも「彼ら」が近づいていることがわかる。

いつのまにかその人数も増え、12~13人ほどいるように見えた。

Kはアクセルを踏むが、車は一向に前に進まない。

まだ自動ブレーキが利いているのだ。

Kは焦るあまり、ハンドルのボタンやレバーいろいろとを触るが車は動かず、買ったばかりの車の勝手がわからなかったのだ。

相変わらず肉眼では見えないが、気が付くと、画面上、そしてファインダーでは、この車はすでに「彼ら」に囲まれていた。

ビーーーーーー

突然、クラクションが鳴った。

Kがレバーを触った時に思いがけず鳴らしたようだ。

すると「彼ら」は蜘蛛の子を散らすように車から離れていった。

もちろん、肉眼でも画面上でもファインダー上でも、「彼ら」は車の周りにはもういなかった。

気が付くと自動ブレーキは解除されたらしく、車は動き出した。

「何だったんだあれは…。」

Kは気を取り戻したが、周りが見えないまま走らせるのは危険だと判断し、ライトをハイビームに切り替えた。

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