すると、その正面には大きな墓石のようなものが見えた。
「あれが慰霊碑か…。」
俺はそうつぶやくと、Kは慰霊碑に向けて車を走らせた。
慰霊碑に近づくと、その手前はちょっとした広場になっていた。
広場の入り口から左に車を進めて、広場の形に合わせて円を描くように一周していると、あることに気が付いた。
大きな慰霊碑の左右には仏像が祀ってあったのだ。
仏像は合わせて10数体あり、偶然なのか、さっきの「彼ら」とほぼ同じ数があるようだった。
本来ならここでお参りの一つでもするべきだが、俺もKも車から降りる勇気はなかった。
車が入り口まで戻ると、また両側を木に囲まれた細い道を通ることになる。
Kは来た時よりも少しだけ早く、そしてクラクションを鳴らしながら駐車場まで車を走らせた。
もう「彼ら」の姿は肉眼でも画面上でもファインダー上でも何も見えなかった。
駐車場へ出ると、Kは一目散でほとんど無言のまま俺の家まで送ってくれた後、Kは自宅へと戻っていった。
翌日の夜、Kから電話があった。
時間はちょうど昨日慰霊碑に行ったくらいの時間だ。
「昨日は悪かったな…。怖い思いをさせて…。」
「いやいや、お前と一緒だったから大丈夫だったよ。気にすんなよ。」
そんな話をしていたが、どうも様子が変だ。
電話の向こうで、何やら話し声のような音が聞こえている。
何を言っているのかよくわからないが、その声は一人や二人ではないようだ。
“それなりの”人数に囲まれているように聞こえるのだ。
「K、お前今どこにいるんだ?」
「…どこって…ドライブの途中だよ。」
「ドライブって、まさかお前…」
「…」
プツッ
周りの人の声は聞こえていたが、Kの返事を聞けないまま電話は切れた。
折り返しの電話をかけてみたが、自動アナウンスで電源が入ってないと言われるだけだった。























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