友人Kが新車を買ったというので、仕事が終わった後に夜のドライブに誘われた。
俺はちょうど暗視カメラとしても使える録画機能付きの双眼鏡を買ったばかりだったので、夜の景色がどう映りのか興味があった。
暗視カメラを買った理由は特にないが、俺自身が当てもなくマウンテンバイクで夜の散歩に出かけるときに使おうかと思った程度だ。
約束の時間、夜11時にKが車で迎えに来た。
納車されたばかりだというその車は、Kの言葉の通りまさに最新型だった。
俺は助手席に乗り込んで新車の匂いで満たされた車内を一通り見渡すと、
「最近の車って何かスゲーな。」
「そうだろう?思い切って買ってよかったよ。」
そのダッシュボードにはタブレットのような大きな画面が鎮座しているのが印象的だ。
「これっていろんな情報が表示されるんだろ?」
「ああ、暗いところでも人の姿を映してくれるから、夜に巻き込み事故とか防げるみたいで助かると思うよ。」
「目の前で人を発見したら自動ブレーキで止まってくれるとか?」
「最近の車って多分そんな感じだろう。でも人の姿を暗闇でも確認できるのはいいことかもな。」
二人でそんなことを言いながらKは車を発進させた。
しかし、その目的地は決まっていなかった。
夜のドライブということで、俺は例の暗視カメラを準備していた。
「この暗視カメラで何が撮れるか、心霊スポットにでも行ってみないか?」
「それ面白そうだな。まあ、そこに行くだけなら行ってみようか。」
Kはコンビニに車を止めてカーナビで「心霊スポット」と検索してみたが、さすがに見つからなかった。
「心霊スポットじゃダメか…。そうだ、確かR山のふもとに何かの慰霊碑があったろう?そこにしよう。」
「そうだな、そこなら車で行きやすいし、暗闇だからこのカメラを使うことにしてみるか。」
コンビニから車を発車させてR山に向かうと、だんだんと住宅街から離れ、街灯も減っていった。
しばらく走ると『慰霊碑はこちら』という看板があり、数台停められるような駐車場があった。
どうやら、ここに車を停めて徒歩で慰霊碑に行けるように整備されているが、駐車場には車は1台も停まってなかった。
しかし、駐車場の脇から慰霊碑まで車で入っていけるようだ。
看板によると慰霊碑までは300メートルあるらしい。
Kは右折してその山道へと入っていったが、道路は車がすれ違えるかどうかという狭さだ。
こんな夜中にすれ違う車などないだろうから、Kは構わずに荒れた道路をゆっくりと走らせた。
道路は当然街灯などなく、両側を木々に囲まれていて、こんな暗闇の中では車のヘッドライトだけが頼りだ。
俺は暗視カメラをケースから取り出して、何となく周りの様子を見やすくするため、スイッチを入れ、録画を始めた。すると、























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