引っ越してきたばかりならそれも当然だろう。むしろ、友達を失ったばかりの僕からしたら願ってもない申し出でもあった。
「全然いいよ。1時間くらいしか遊べないけど」
もう夕方だし、家では夕飯の支度もしてるだろうから、ちょっとだけお邪魔させてもらおうかな。
この子が前にいたところの話とか、なんでこんなに大人びてるのかとか、いろんな話が聞けたらいいな。
「ありがとう」
「こっちのセリフだよ。でも、こんな時間に何してたの?」
「ぼくのうち、お父さんしかいないんだけどね、おかずを準備するのがぼくのお仕事なんだ」
シングルファザーの家庭だったのか。
片親だからこそ、こんなにも優しく、しっかりしてるのかもしれないな。
「ここだよ」
公園から近いその小さなアパートは、木造で築年数もかなり経っていそうだった。
どうぞと言って開かれた玄関ドアから見えた室内は、外から想像するよりも更に小さい気がして、思わず「何部屋あるの?」とか僕は失礼なことを訊いてしまうのだけど、少年はそれには答えずに、家の中を見てた。
「おせーじゃねーかてめー! 何時間かかってんだよクソガキ!」
タンクトップと短パン姿の中年男性がいきなり大声で少年を叱責する。
僕はそれに気圧されてしまうのだけれど、隣の少年は「ごめん」とだけ言って、僕の背中を室内へと押し込んでいく。
「ったくよー。使えねーガキだな。……こいつか?」
「うん」
タバコを乱暴に灰皿に押し付けてから、その男は短パンと下着を脱ぎ捨て、「鍵閉めろ」と少年に言う。
ガチャリ。
やけに大きく耳に響いたその音は、僕が思考を閉ざすための合図のようにも感じた。
「ごめんね」
目に光のない少年の言葉を最後に、僕の意識は途切れる。






















知らない子どもについてっちゃ駄目だよ。