「カッコよかったよ」
蹲ったままの僕の頭に、そんな言葉がかけられる。
垂れた鼻水を拭かず、ゆっくりと顔を上げると、そこには小学生の男の子が立っていた。
いつも遊んでいた連中の中にはいなかった、初めて見る顔だ。
「君は……」
「最近この辺に引っ越してきたんだ」
だから見たことない顔だったのか。
でも――
「はじめましてなのに、情けないとこ見られたね」
高校生にボコボコにされて、小学生に愛想を尽かされて、どうしようもないこんな僕に、なぜこの子は話しかけてきたんだろう。
「情けなくなんてないよ。カッコいいとほんとに思う」
それが嘘でもよかった。
僕は、走馬灯みたいに自分の人生を思い返して、涙が溢れ出す。
「あああああ……」
目元を抑えて泣き崩れた僕の背をさすりながら、「大丈夫、大丈夫だよ」と少年は優しく励ましてくれる。
「立派だったよ。すごくすごく、がんばったよ」
僕はこれまで、何をしていたんだろう。
誰に、どう思われたかったんだろう。
ただ、見下されたくなかっただけなんじゃないか。
自分がみじめな思いをしたくなかったから、優れた人間でありたいっていう思いが強すぎて、だから他人とも距離を取って、自分の殻に閉じこもって、明らかに自分より劣っている小学生たちとしか関わろうとしなかったんだ。
絶対に力では負けない、知識でも学力でも、絶対に負けない相手としか関われなくなっていた。
それは僕のちっぽけなプライドのせいだ。
凄いと思われたいから、駄目だと思われたくないから。
そんなくだらない理由で、僕は小さな子供としか話せなくなっていた。
「大丈夫。もうその殻を破ったんだから」
僕は少年の胸で泣いた。
もう恥も外聞も、プライドも情けなさもどうでもよかった。
ただ、自分の愚かさと馬鹿馬鹿しさが悔しくて、悲しくて、泣き続けた。
30分くらい泣いて、ようやく落ち着いた僕に、少年は「よかったらうちに寄っていかない?」と言った。
「ぼく、一人っ子だから寂しいんだ。まだこの辺で友達がいないし、遊び相手になってくれると嬉しいんだけど……」
























知らない子どもについてっちゃ駄目だよ。