─ドン!ドン!ドン!ドン!……
ドン!ドン!……
物凄い勢いで誰かが玄関のドアを叩く音が聞こえてきます。
私は寝室のドアを少し開け頭一つ出すと、廊下の突き当りにある玄関の方を見ました。
─ドン!ドン!ドン!ドン!……
ドン!ドン!……
※※※※※※※※※※
─こんな時間に、いったい誰なんだろう?もしかして、いたずら?
私は音をたてないようにソロソロ廊下を歩き、玄関の前に立つと、大きく一つ深呼吸をして、恐々のぞき穴に目を近づけます。
.
.
え?
一瞬意味が分からなかったのですが、慌てて鍵を開けドアを開きます。
と同時にポマードの香りが鼻をつく。
そこには、上下黒のスエット姿の父が立っていました。
今年七十歳になる父は、すぐ近くの一軒家に一人で暮らしています。
母は五年前に癌を患い、病院に入院しているのです。
白髪混じりの頭をポマードでオールバックにして無精ひげを生やし、なにやら険しい顔をしています。
この話は怖かったですか?
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