正直なところ、俺はバチさんの正体について詮索する気はまったくなかった。
あの存在は謎のままでいい。むしろ、その不可解さが、このカフェの空気や店長との時間を特別なものにしているのだと、そう思うようになった。そして今後このカフェが続いていき、バチさんが毎日静かにワッフルを食べ、コーヒーを飲む光景も変わらず続いていくのだろう。
たとえ誰にも正体が分からなくとも、不思議な秩序と日常が保たれていく。そんな気配だけが、静かに漂っている。
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