僕の家の近く昔からあるゲームショップがある。そのゲームショップはPC88、PC98やPCエンジン、メガドライブ、サターンといったセガ系ハード、プレステ、XBOXのゲームハードとソフトを取り扱っている店であった。
「ああ。そういえば、うちのゲームショップに男の子がファミコンと当時、子供たちの間でブームだった「スーパーマリオブラザーズ3」を買いに来たことがあったな。ただ、その男の子は・・・」
店長は昔、体験した不思議な話を話し始めた。その日は外は大雨であった。店長はレジの所で女流SF作家ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「たったひとつの冴えたやりかた」を読みながら、時計を確認する。ちなみにこの「たったひとつの冴えたやりかた」の文庫本は川原由美子が表紙挿絵を担当したバージョンである。店長は
「やっぱ、川原由美子が書く美少女は可愛いな。グヘヘ」
と呟いてる時に店の中に小学生くらいの男の子が入ってきた。男の子はレジに座る店長に
「おじさん。ファミコンと「スーパーマリオブラザーズ3」を下さい」
と言い、万札が束になっている封筒をレジに置く。当時、このゲームショップはPCエンジン、メガドライブ、PC88系が専門でファミコンは取り扱っていないのだ。ここで店長は
「ファミコンなんかよりPCエンジンなんてどうだい?こっちの方がスーパーマリオなんかより面白いゲームがたくさんあるぞ」
と勧めてきた。言うまでもないが店長は小学生の男の子相手にPCエンジンとスーパーCDロムロムを売る気満々である。さて、男の子はというと
「うん。じゃあそっちにするよ!」
と言ってきた。店長は
「よーし、分かった。待ってろ坊や」
とPCエンジンとスーパーCDロムロムと店長の「お薦めのゲーム」として日本テレネットのアクションゲーム「ヴァリスⅡ」を男の子の前に渡す。男の子は封筒に入った万札を取り出しレジの前に置く。会計を終えると男の子はPCエンジンとスーパーCDロムロムと「ヴァリスⅡ」を持って、ゲームショップを後にした。外は未だに大雨であった。数分後、ゲームショップの常連客のB村がゲームショップの中に入った。店長は
「ああ。入らっしゃい。B村が注文していたメガドライブの「大魔界村」が今朝、入荷されましたよ」
と笑う。B村は
「お、そりゃよかった。家に帰ってからオールで「大魔界村」をプレイするぞ」
と言う。店長はさっき来た小学生の男の子の話をした。B村は真っ青な顔になった。
「店長。その男の子は多分、幽霊だよ。実は数年前、小学生の男の子がファミコンを買いたさに躾としてゲームや漫画等すら買わせず、過剰なまで教育熱心なうえに金に関してはケチな自分の両親を包丁で殺害して、封筒に入った金を持って、おもちゃ屋にファミコンを買いに行く途中に車にはねられて死んだ事件がこの辺りであったんだ・・・。それ以降、この地区にあるおもちゃ屋にて、ファミコンを買いに来る男の子の幽霊がよく出没するんだよ・・・」
B村の話を聞いた店長は真っ青になったのは言うまでもなかったという。
終わり






















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