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不思議体験

nickningenさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

悪霊の神社
長編 2025/09/05 00:16 28,884view
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学校へ向かう道を歩く。
家々の間の細い道は整備が行き届いていないのか、アスファルトはひび割れている。
ひび割れた所から雑草がちょこんと顔を出している。
苔むした石垣、背の伸びた田んぼの稲、アスファルトの雑草のどれもが青々として眩しかった。
登校中、岬は合唱祭の話ばかりをしている。
岬がどれだけ合唱祭を楽しみにしているかは、その明るい表情から僕にも伝わってきていた。
岬の母は忙しく、去年は合唱祭には来れなかった。
「仕事だもん。しょうがない!」
と笑う岬の目の奥には泣いている岬が映り込んでいた。
岬の母が約束を破るような人じゃないとは思っていた。
昔から優しくしてもらっていて、家族同士も仲が良かった。
でも、その時は岬の母に対してジリジリと焦げ付くような怒りを感じた。
だから、今年は母が聴きに来てくれると喜ぶ姿を見ていると、また去年のようなことになったらどうしようという不安な気持ちになっていた。

合唱祭まで後1週間程になると、
とある地元の神社に合唱祭の成功を願って願掛けをしに行くということになった。
僕は岬が行くと言うので願掛けに参加することにした。
その日、家に帰って夕飯を食べている時、
父と母に近所の神社へ願掛けに行く話をした。
すると父が悪戯っぽい笑みを浮かべた。
この顔を僕は知っている。
僕をからかうためにろくでもない話をする時の顔だ。
「昔なぁ、この辺りで何度も土砂崩れや悪天候の災害にあって住んでる人達がみんな苦しい思いをしていたんだ。」
父が何かを話し始めた。
こうなると父は話終わるまでやめない。
「急に何の話?酔っ払ってるの?」
と、冷たい声で父に問い返した。
「まぁ、いいから聞けって!
これからお前が願掛けに行こうとしてる神社の話だよ。」
「それでな、みんな苦しんで途方に暮れている時にな、ある神主さんがこの村を訪れたんだ。
その神主さんが言うにはな、古い山の神が悪霊になって災害を引き起こしていると言うんだ。
当時の村長はどうにかならんのかって神主さんに泣きついたんだ。」
父は一呼吸おいた。

「神主さんがその悪霊を倒してくれたの?」
と僕は父の話の先を促した。
「いや、人間1人の力じゃなんともならんのが常でな。
神主さんは悪霊を神として祀れって言ったんだ。
それで、村人総出で社を作って、その悪霊を神として祀ったんだと。
そしたら、災害がピタリとおさまったんだ。
でもな、そのすぐ後に神主さんが忽然とどっかに消たんだ。
どこ探しても見つからなくて、村人の間では悪霊に攫われたってことになったんだとさ。
それを不憫に思った村人が、村を救ってくれた神主さんを祀った神社を作ったんだ。
それがお前たちが行こうとしている神社なんだ。」
父は話し終えるとビールを1口飲んだ。
「・・・なんだ、もっと怖い話するのかと思った。」
と僕は少し拍子抜けした。
僕の様子を見て父がまたニヤリと笑う。
「いや、怖いのはここからだ。」
僕は身体中が強張るのを感じた。
「この話は父さんのじいさんから聞いたんだ。
この話によると、この村にある神社は2つのはずだよな?
悪霊を祀る神社と神主を祀る神社。」
そう言いながら父は人差し指と中指を立てた。
「でもこの村にある神社は神主を祀った神社だけだ。
じゃあ、悪霊を祀った神社はどこいったんだって話になるだろ?
じいさんに聞いても知らんと言うから、仲良いやつらと学校をサボって消えた神社を探しにいったんだ。
でも、見つからなくてな。
次の日、学校行ったら、岬ちゃんいるだろ?
あの子のお母さんに大目玉くらってな。
いつまでも探検ごっこなんかしてないで学校ぐらいちゃんと行きなさいってな。」
僕は岬の話が突然出てきたので、
「岬のお母さんと同級生だったの?」
と思わず口を挟んだ。
「いや、同級生じゃなくて1個上な。
知らなかったっけ?

まぁ、当時の奈々美さんは悪霊の神社なんかよりも恐かったぞ。」
父の弱点を思わぬところで見つけ、内心ほくそ笑んでいた。
「俺達はその後も何度か探しに行ったんだけど、ついにその神社を見つけたんだ。
山の中でぽっかりとボロボロの鳥居が口を開けててな。
みんな初めはこんなとこに神社あったっけ?と思ってたけど、すぐにこれが悪霊の神社だってみんな思ったんだ。
これが、薄気味悪くてな。
木が風に揺れる音でもビクビクしてよ、何とか鳥居の前まで行ったら・・・
真っ暗な鳥居の向こう側から・・・
無数の手が・・・
ブワァーーーーー!!!!!って。」
突然の大声に驚いて僕は茶碗をひっくり返してしまった。
父はその様子を見てニコニコしている。
「あんた!悠を怖がらせて遊ぶのはやめなさい!」
と母は父を叱りつけていた。
それでも父の表情はどこかスッキリしていた。
やられた。
まんまと父にしてやられた。
恥ずかしさと父の思惑通りの反応をしてしまった怒りで席を立った。
「もういい!ねる!」
と言って踵を返すと父が
「いや、お母さんが作った料理を無駄にするな。
せめて全部食べてから寝なさい。」
と言いながらテーブルに溢れたご飯を集めて茶碗に戻していた。
僕は怒りをグッと堪えて、夕飯を全部食べ
「ごちそうさま!」
と言って食器を台所の流しに片づけ、そのまま寝支度を始めた。
昔から父は僕をからかって遊ぶことがあった。
父が部屋の暗がりに引きずり込まれるふりをしながら、幼い僕に「悠ー!助けてくれー!」と叫ぶ。
それを僕が泣きじゃくりながら「行かないで!」と父の手を引っ張ったりしたこともあった。
案の定、母に叱られていたが、
思い出すと顔が熱くなるのを感じた。
今度、父が岬のお母さんのことを「悪霊の神社より恐い」って言ってたと伝えよう。
そう固く決意した。

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コメント(2)
  • 随所に差し挟まれる小賢しいレトリックがいちいち鼻につく。
    このサイトの読者層には刺さるのかもしれないけど。

    2025/09/09/05:48
  • ちょっと意味がわからない

    2025/09/11/20:22

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