玄関の硝子格子戸を控えめに叩く音がやけに大きく聞こえた。
虫の鳴声がピタリと止み、静寂に包まれる。
「誰・・・?」
か細い声しか出なかった。
心臓の音まで聞こえる。
足は不思議と玄関の方へ向かう。
硝子格子戸の磨りガラスの向こうに人影が立っていた。
コン、コン
再び硝子格子戸を叩く音がする。
ゆっくりと玄関に近づく。
「誰ですか?」
今度ははっきりと声に出せた。
1歩踏み出すと古い床板がミシリと軋んだ。
東雲色の空の下で山の木々の青さが眩しい。
ふいに夢の情景が蘇る。
「岬・・・。」
格子戸越しに私に呼びかける声がする。
木々が風で揺れ、そのざわめきに包まれる。
その声は耳元で囁くようにはっきりと聞こえた。
山の木々がゆっくりと左右に揺れる。
聞き間違えようがなかった。
その声は、
「お母さん・・・?」
風が止んだ。
鮮やかな朱色の鳥居が見えたような気がした。
僕は眠い目を擦りながら学校へ行く準備をしていた。
今年から中学校に上がったが、小さな集落なので見知った顔ばかりだった。
みんなどことなくのんびりしており優しかった。
小学校6年生の時は年下に囲まれていて、自分が何だか大人になったような気持ちだったが、中学校からはまた1番下の学年で上級生に面倒を見られる立場になった。
最初はまた子供として扱われているようで奇妙な感じがしたが、夏になる頃にはそれにも慣れてしまっていた。
「悠ー!岬ちゃんが迎えに来てるぞ!」
父が僕を呼ぶ声がする。
毎日、1つ上の幼馴染の岬が迎えに来る。
鬱陶しく思うこともあるけど、岬は僕に持ってないものを沢山もっていて助けられることが多かった。
玄関の引き戸を開ける。
朝の日差しが眩しく目を細める。
「おはよう!学校行くよ!」
蒸し暑い空気を払うように、元気な声がした。
「おはよう・・・。」
まだ眠い僕はボソッと呟き、その声はジワジワと鳴く蝉の声の中に溶けていった。






















随所に差し挟まれる小賢しいレトリックがいちいち鼻につく。
このサイトの読者層には刺さるのかもしれないけど。
ちょっと意味がわからない