情報庁の記録員の仕事は特異性の高い情報を収集および記録することだ。
ただ、記録対象は死刑囚から無垢な幼稚園児まで多岐に渡る。
今日はUFOに乗ったとかいう、畜産農家の年配男性からの記録収集だ。
「はぁ〜・・・。」
思わずため息が出る。
「・・・やめて下さいよ。
俺だって馬鹿馬鹿しいと思ってるんですから。」
運転席から雨宮が抗議する。
「こういうタイプの記録収集指令は初めてです。」
「私も初めてよ。」
「でも、情報庁からの指令なら何か特別な価値のある記録だと判断されたんでしょうね。
本当にUFOなのか、どこかの秘密兵器か、公開されていない新技術かは分からないけど。」
「個人的にはあまり興味が湧かない記録だけど、仕事だから仕方ないわ。」
と仏頂面で前を向く。
「鹿島さんの好みはもっと人間の内面を知れるようなやつですもんね。」
「そうよ。」
「・・・趣味悪。」
「聞こえてるよ、雨宮くん?」
牧場に到着すると、恰幅のいい年配男性が出迎えてくれた。
「お待ちしてました!こんな田舎まで来てもらって申し訳ない!
搾りたての牛乳でものみますか?」
ガハハと笑う元気のいいおやじだ。
「是非、いただきます!
搾りたての牛乳なんて都会じゃ飲めませんから!」
鹿島は愛想良く応答する。
「俺は・・・カフェオレ・・・」
ジロリと鹿島に睨まれる。
記録員として円滑に情報収集するために、相手に気分良くなってもらうに越したことはないからだ。
「ガハハ、お兄さんは牛乳がダメな人か!
じゃあ、瓶のカフェオレがあるからそれがいいでしょう!
瓶のカフェオレなんて都会ではあまりお目にかかれないでしょう!
これもウチで作ってるもんですから!」
「・・・ありがとうございます。」
雨宮が礼を言うと、
「どうぞこちらでお待ちください!」
と大きなログハウスへ案内された。























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