先代神主の話が終わった時点では荒唐無稽な話だと思っていた。
でも、涙ながらに懸命に話す悠君の話には信じざるを得ない圧力があった。
だが、現実にそんなことがあるのだろうか?
悠君はタチの悪い嘘をつくような子ではない。
それが、なお一層、私の気持ちを暗い海底に引き摺り込んでいった。
だからと言って諦められない。
たった1人の娘なのだ。
警察か?でも、1日帰らない娘のために警察が動くだろうか?
家出だと処理されるだけでは?
ギリリと握り拳に力が入る。
「神隠しでない可能性はあるのでしょうか・・・?」
誰に対してでもなく言葉が口から溢れ出た。
「ないとは言えん・・・。
奈々美が到着するまでに和夫と手分けをして集落の家々には訪問してみたんじゃ。
もちろん、合唱祭の無事を祈っての挨拶回りという名目じゃ。
どの家も居間まで迎え入れて、お茶を飲みながら近況報告といったいつもの流れじゃった。」
先代神主が一呼吸置く。
「その中で何かおかしなことがないか?怪しいことがないか?聞いてみたが、何も手がかりは得られんかった。
集落の皆を疑いたくはないが、誘拐を企むものがいれば何かしら他のものには怪しく映るのではないかと思ったのじゃが・・・。」
岬の失踪を公にすれば、集落のみんなは混乱するだろうと思った。
お互いを疑い合うのは私も嫌だった。
「学校にはなんて言っているのですか?」
頭を動かしていないと奈落の底に沈んで戻ってこられなくなりそうだった。
「今は体調不良ということにしておる。」
岬がいなくなった事を知っているのはここに集まる人達だけみたいだ。
「私としても集落のみんなを巻き込みたくはありません。
でも、諦めきれなくて、何かをしていたいです・・・。」
警察が真剣に取り合ってくれるまで手をこまねいていれば、それこそ神隠しではない場合に取り返しがつかなくなる。
「僕も諦められないです・・・。」
悠君の鼻を啜る音がする。
そうは言いながらもその表情には絶望の色が濃かった。
「今は集落の周辺を探すしかないかの・・・。
儂は隣町の神主の知り合いに頼んで人手を確保してみる。」
「奈々美さん、俺たちも手伝います。」
浩二が真剣な眼差しでこちらを見ている。
ついこの間までやんちゃ坊主だった浩二が頼もしく思えた。
悔しくもあったが、今はありがたかった。
「みなさん、ありがとうございます。」
少し気持ちが救われた気がした。

























随所に差し挟まれる小賢しいレトリックがいちいち鼻につく。
このサイトの読者層には刺さるのかもしれないけど。
ちょっと意味がわからない