それから3日経った。
先代神主の伝手で10人ほどの人手が集まり、山や集落周辺を捜索したが、岬は見つからなかった。
そもそも、あれだけ合唱祭を楽しみにしていた岬が本番前に家出をするだろうか?
悠君が見たと言う”着物の女性”が現実的に色味を帯び始めていた。
その日の捜索が終わった。
鈴虫の声がくたびれた四肢に染み込む。
家の前に着き、古びた郵便受けを確認すると、1通の手紙が入っていた。
その白い封筒は鮮やかな朱色で縁取られていた。
それは悠君が見たと言う鳥居を連想させた。
封筒の表面を見ると「お母さんへ」と書かれていた。
思考が凍りついて手紙を持ったまま、その場に立ち尽くしてしまった。
鈴虫の声が遠のき、残響が耳の中でこだましていた。
今まで何度も見た岬の文字そのものだった。
覚束ない足取りで玄関まで辿り着くと両親が迎えてくれた。
「今日も疲れたでしょ。
ご飯用意してあるから手を洗ってきて。」
両親はあの日以来、あえて普通に接してくれていた。
その方がありがたいと私も思っていた。
それでもやはりその表情の奥には暗い影が滲んでいた。
「岬から・・・。」
私は震える声で封筒を両親に見せた。
両親もぎょっとしたような表情で封筒を見ていた。
「私・・・読んでみようと思うの。
どう思う・・・。」
どんなことが書いてあるのか怖かった。
もし、誰かが悪戯でこのようなことをしているなら、狼狽する私達を想像して楽しんでいるのだろうか。
「私達はどんなことがあっても、あなたを支えるわ。」
そう言って母が力強く私の手を握ってくれた。
父も力強く頷いていた。
羽毛布団にくるまるような優しい暖かさを感じていた。
大人になって父母にこれほど頼る日が来るとは思わなかった。
両親が居なかったら私は生きていただろうか。
1人でいるにはこの家は広すぎると思った。
畳の間に座り封筒をしばらく見つめていた。
両親は私の両側に座り静かに私を見守っていた。
大きなブラウン管テレビは何も映していなかった。
私は意を決して、封筒を開け手紙を取り出す。
もし悪戯ならこれを証拠に警察も動いてくれるだろう。
胸の奥に流しこまれたセメントが静かに固まっていく。
手紙を開く。
その内容は予想に反して、岬の想いそのものだった。
私を気遣うような言葉。
岬しか知らないような2人の思い出。
私への感謝。
それが、岬の文字で書かれていた。
抑えていた感情が溢れ出し、手紙の文字が滲んだ。
父が私の肩を強く抱いてくれた。
母は嗚咽混じりに「ごめんね」と言いながら私の手を握っていた。
「合唱祭のために沢山練習したから絶対に聴きに来てほしい。」
と手紙は締め括られていた。






















随所に差し挟まれる小賢しいレトリックがいちいち鼻につく。
このサイトの読者層には刺さるのかもしれないけど。
ちょっと意味がわからない