ということは、ともみさんはもう既に?
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私はデスクの引き出しを上から開けてみた。
中には筆記具や雑誌や書類の類いとかが雑多に収まっている。
最後に一番下を開けると、そこには数枚の封筒が重ねてあった。
手に取り見てみると、その中に「兄貴へ」と表書きされたものを見つける。
封を開けると、中には一枚の便箋が入っていた。
そこには見覚えのある字体で次のように書かれている。
─兄貴へ
これを兄貴が読む頃には、もしかしたら俺はこの世にはいないかもしれない。
だから今のうちに書き残しておくよ。
ともみの話は以前にしたよね。
そう俺の彼女だった。
年齢は俺と同じ30歳。
明るくて活発な子だった。
俺はどちらかというとインドア派だろ。
でもともみはアウトドア派だった。
それで去年の秋口に一緒に川遊びに行ったんだ。
その時に予期せぬことが起こる。
準備してきたゴムボートで遊んでいるときのことだ。
川の流れは意外に速く、ボートが流されてしまう。
そして岩礁に衝突した拍子に、ひっくり返ってしまったんだ。
俺は必死に岩に捕まりながら、ともみの右手首を掴んでいた。
ただ岩は苔むしていてちょっと気を抜くと、流されそうになる。
しばらくは必死に頑張っていたが、いよいよ限界になろうかとした時、あろうことか、ともみの手首を離してしまったんだ。
あっという間に彼女は流されてしまい、見えなくなってしまう。
どうすることも出来ない俺は、ただ呆然とその様を眺めていた。
結論から言うと俺はなんとか生き延び、ともみは溺死してしまう。
























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