これはまだ自分が小学生の頃に体験したお話です。
その頃は親の仕事の関係もあって3回も引っ越しをして、
そのたび転校を繰り返していたのでなかなか友達もできず、
けっこう不遇な小学生時代を過ごしておりました。
その2回目の引っ越しをした時の話です。
家は2階建ての一軒家。
地方だったこともあり、玄関先には大きめのクルマを2台停められるスペースがあり、
さらに樹や花を植えてある庭もついているという、今思えばけっこう贅沢な造りの家でした。
塀などもなく、隣近所の家とは少し離れて立っているという、そんなオープンな環境です。
それはある夜のことでした。
深夜3時ごろだったと思いますが、ボクは突然トイレに行きたくなって目が覚めてしまったのです。暗い階段を降りて、一度玄関に出て、その奥にあるトイレへ向かいます。
玄関ドアはすりガラスの引き戸になっており、外の外灯の明かりが入ってきておりました。
自分はそのまま電気もつけず、外灯の明かりを頼りに暗い玄関を通ってトイレに向かおうとしていたのですが、そのすりガラスの向こうに、誰かがスっと通ったような気がしたのです。
ちょうど自分と同じくらいの、子供のような影が動いたような・・・。
「えっ? こんな時間に・・・子供が外を歩き回ってるの?」
自分はちょっと怖くなり、急いで用を足して寝床に戻りました。
次の日にはもうそんなことはケロっと忘れていて普段通りに過ごしていたのですが、
それからしばらくして、また深夜に目が覚めてしまいました。
その日は雨がシトシト降っており、ピチャピチャと雨音が聞こえていました。
半分寝ぼけながら暗い階段を降り、トイレに向かい、玄関に出ると、
ボクの眠気は一気に吹き飛びました。
思わず叫び声をあげそうになるのを必死でこらえました。
玄関のすりガラスの向こうに、人が立っているのが見えたのです。
やはり子供くらいの背丈で、外灯の明かりにシルエットになっています。
さすがに「これはヤバイ!!」どうしようかと焦りました。
その人影はすりガラスに手や顔を近づけて、中をのぞこうとしているように見えました。
こちら側は電気もつけておらず、静かにしていれば相手からは真っ暗でわからないはず。
雨音もしてますし、静かにしていればこちらのことが相手にバレることはないだろう。
そう考えて、そろりそろりと音を立てずに静かにトイレへ向かいました。
とにかく、トイレをせずに戻ることもできず、ドアノブを回すときも静か~に音を立てずに気を付けて、トイレも静か~に用を済ませ、またそろ~りそろりと戻りました。
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