ご遺体にそんなことを…

先輩の顔が少しこわばったのがわかった。

そん時もそのバイトが一人だけ寺に泊まってたんだけど、
近くのホテルに泊まってた社員さんが忘れ物に気づいて
夜遅くに寺に戻ってきたんだ。
そんでついでだからってバイトの様子も見に行ったんだ
でもな泊まってるはずの部屋にはいなくてさ、
不思議に思って少し探してみたら、ご遺体を預けている
部屋からバイトの声が聞こえたんだ。
社員さんがそっと覗くと、そのバイトが棺桶の側に座り
ご遺体の女性をじっと見つめながら何かつぶやいていたんだ。
不気味に思った社員さんはそのまま静かにホテルに戻ったんだ。

先輩は先ほどよりも顔を強張らせて続ける。

翌朝社員さんが寺に向かうと、バイトが寺の住職さんに叱られていた。
なんでも夜中に住職さんもバイトの声が聞こえて、様子を見に行くと
そいつがご遺体の若い女性にイタズラをしていたんだとか。
そのイタズラの内容が口に出せないほどのものでって住職さんは
それ以上詳しくは言わなかったんだけどな。
社員さんも昨晩のこともあってそのバイトに何をしてたのか
問い詰めたんだ。
でもさ、それ本当に聞かなきゃよかって社員さん俺に話ながら
愚痴ってたんだ。

先輩の顔は次第にほころんでいく。

バイトは悪びれもせず、笑って言ったんだよ。

『あの子も僕のお嫁さんにしたんです。』

俺はその先輩の言葉と表情に絶句した。
さっきとは打って変わって嬉しそうに
ニコニコしながら話している。

そいつはさ、若い女性のご遺体の後頭部の髪を
少し切って束ねてそれを依り代に降霊術を行い
次々と女性の霊たちを呪術で縛って自分の物にしていたんだ。
そんでな…そいつな…その霊をどうすると思う？
交わるんだぜ….
朝までご遺体の横で何度も何度も…