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呪い・祟り

ないものさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

視界の端
短編 2025/06/17 21:23 1,788view

 雨宿りのために入ったバーで意気投合した彼の話に熱中して、外の雨が止んだことにすら気づきませんでした。

「……なんだか、不思議な話を聞かせていただき、ありがとうございました」

 そうお礼を伝えた私に、彼は微笑を保ったまま、こう言いました。

「お兄さんも気をつけてくださいね。意識した瞬間から、呪いは始まりますので」

 その言葉に、どこかぞわりとするものを感じながら、わたしは軽く会釈をしてバーを後にしました。

 ……あれから、数日が経ちました。

 特に私の身には何も起こっていません。

 何かの気配を感じるようなこともありません。
 いたって問題ない日常を過ごしています。

 それなのに……
 気づけば、なぜか視界の端を気にしてしまう自分に気付いてしまいました。
 いたるところで、視線を彷徨わせては、何もないことを確認してしまうのです。

 駅のホーム、会社の前、コンビニの防犯ミラー……
 本当に、あらゆる場所で。

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