朽屋はホウキを槍のようにして構え、前方にいる悪霊に対して棒の先を向け続ける。
そのホウキには朽屋が生まれながらに持つ霊力が注ぎ込められており、青白い光に包まれていた。悪霊はそれに触れると電気が走るような衝撃を受けるようで近づけないようだ。
ジリジリとにらみ合いがつづく。
そこに突然、ドアを開けて一人の男子生徒が入ってきた。
「たのも~~~。怪しげな気配を感じ、参上いたしました」
なにかおかしな口上を述べながら教室に入ってきたのは、体格の良い6年生男子だった。
「あっ、ニンニンだ! ニンニン助けて!!」
朽屋の後ろの女子生徒が6年男子にそう叫ぶ。どうやら知っている間柄らしい。
ニンニンと呼ばれた少年は、朽屋と悪霊の方を一瞥し、納得したようにうなずくと、
そのまま五十音表の方へ向かった。
彼は空中で印を切るような仕草を見せたかと思うと、ビリビリと五十音表を細かく破り始めた。それと同時に、悪霊が苦悶の表情を浮かべだした。
悪霊は朽屋たちへの攻撃を諦め、振り返って少年の方へ向かっていく。
その時も少年は空中に何かの印を切り、10円玉を拾いつつ、それを悪霊の方へ向けた。
「フンっ!!」と気合と共に力を込めると、10円玉がぐにゃりと曲がった。
瞬間、悪霊は苦しそうに身をかがめ、動けなくなってしまった。
その様子を見た朽屋は、間髪入れずホウキの柄を悪霊のわき腹の辺りに思いきり突き刺した。人間で言うと、肋骨の隙間を縫って確実に心臓に刃が届く位置だ。
ホウキの柄に込められた朽屋の霊力が悪霊の体を貫く。
全身に青白い炎が噴き出し、やがて悪霊ははじけ飛んで消滅してしまった。
静けさを取り戻す教室。
「もう大丈夫だよ」朽屋が女子たちに安全になったことを告げる。
「わ~ん、朽屋様ありがとう~。ニンニン先輩もありがとう~」
「この御恩は一生忘れません!」
「バレンタインの時には心を込めて義理チョコ買ってきます~~!!」
女子たちが悪霊から解放されて、それぞれ感謝の言葉を発した。
「ハイハイ、お礼は現金のみですよ~なんつって」
軽いノリの先輩のようだ。
女子たちが帰って、教室に二人だけとなった。
「初めまして。僕はオシダリ シノブ。忍足(しのびあし)と書いて『オシダリ』。
シノブも忍(にん)の字で、名前に忍(にん)の字が二つあるので、あだ名はニンニン」


























kanaです。
自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズです。
今回は小学校編ということで、ロリっ子朽屋の活躍にご期待ください。
尚、今回のお話は、以前こちらに投稿させていただいた「理科室の人体模型 VS チーム悪ガキ」というお話と、「【short_10】用務員のおじさん」のお話の解決編となっています。
あと、わかる人にはわかると思うんですが、ラストの戦闘シーンは某ネットミームを参考にさせていただいてます。わかる人は吹き出しちゃうかも。
それでは、ちょっと長いですけど、お楽しみください。
kanaです。さっそくなのですが、一部修正を入れました。
というのも楔形のカッコで音や擬音を表現していた部分があったのですが、
奇々怪々さんではなぜかこの楔形カッコで囲った文字は表記されないという仕様になっており、
そこだけ文字が消えていました。
まだ見落としがあるかもしれません。もし、おかしな部分を発見した方はご報告よろしくお願いします。
一気に読んでしまいました、瑠子シリーズ大好き☆
最高〜でした♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪いつもですけどwニンニンも小学生からの知り合いだったんですね(伏線回収?)次作楽しみに待っております♪♪♪
kanaです。↑コメントありがとうございます。楽しんでいただいて何よりです。
ニンニンは瑠子の1学年上の先輩でした。ボクの中の設定上では、この後ニンニンは瑠子に「同じ中学に行こうよ」と誘うのですが、瑠子はもうK女中等部に行くことが決まっていたので、ここで一旦お別れとなりますが、瑠子は高校に入る前に組織で保護されるので、そこで再開します。
ちなみにですが、瑠子が進学するK女学園にはモデルがあり、実はボクもびっくりしたんですが、そのモデル校がネットミームになってることが判明しました。グーグルストリートビューのカメラに向かって変なカッコで映る女子生徒3人の画像知ってますか? あの生徒たちの学校がK女のモデルです。
今回もクッチャルコ面白すぎました( ;∀;)このシリーズで小説出してほしいくらいです、、!!!
kanaさんの作品が一番大好きでいつも楽しく読ませてもらってます!!これからもお体に気を付けながら最高の作品を作り続けてください( ゚Д゚)