カトウさんの話を聞いた僕らの周りに、重ぐるしい沈黙の時間が流れる。
マナミさんも、表情が暗い。
ミキさんも黙っている。
確かに、聞いていて気持ちのいい話ではなかった。
そんな雰囲気を破るかのように、カトウさんは、
「おいおい、暗くなるなよ。俺の話は所詮、都市伝説ってやつなんだからさ。」
と、慌てて、場を和まそうとする。
が、年配の女性スタッフが、
「その話、現場に下見に行く前に、私も聞きましたよ。」
と、カトウさんのフォローを台無しにする。
マナミさんは、顔を上げると、引きつった顔で無理矢理笑顔を作り、
「で、でも、きっと作り話ですよね!」
と、明るく振る舞う。
「…いんや。そうじゃねえ。」
と、突然、低い男性の声が、僕らの後ろの席から響いた。
声の主は、作業着を着た年配の男性だった。
声に驚いた僕は、一瞬、腰が跳ねる。
「あ、あなたは道具係の…。」
カトウさんは、年配の男性に話かける。
だが、道具係の男性は、カトウさんの言葉を遮り、
「呪いは本当にあるんだ。嘘じゃねえ。あんたの話しは、みんな本当にあった事なんだ。」
少し訛った感じの喋り方で、道具係の男性はボソボソと喋る。
「何か知ってるんですか?」
僕は男性に聞き返す。
しかし。
「…」男性は黙ってしまう。
「どうなんですか?」
僕は更に詰め寄る。
男性は、一言だけ、答えた。
「行ってみれば、わかるさ」
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