家族揃ってリビングで食事をとっていたある日の晩のこと。時刻は7時55分だ。その日は8時から好きな番組が放送されるということで、テレビを見ていた。
ところが急に画面が切り替わり、テレビには砂嵐が表示された。私はすぐに一回チャンネルを変えた。しかしその瞬間、まだ一歳の息子が泣き出してしまった。
私は食事をやめ、すぐに息子をあやしにいった。しかし何をやっても泣き止まない。相当怖かったんだろうと抱きしめていると、突然旦那が机の上からリモコンをガッと奪い取り、テレビを砂嵐のチャンネルに戻した。
「ちょっと何やってるの!赤ちゃん怖がってるでしょ!」
「…」
「本当にバカ!」
私はすぐリモコンを奪い返し、息子をあやした。またブワッと泣き出してしまったのだ。また泣いた…とゲンナリしていると、ふと刺さるような視線を感じた。家族の方を見ると、皆が揃って私を睨んでいた。
「…どうしたの?」
私がそう聞くと、父は鬼のような形相で
「何やってるんだよ!チャンネルを戻せッ!!」
と叫んだ。それに賛成するように、母、姉がチャンネルを戻せと叫んだ。でも息子が泣いているので、チャンネルを戻すわけには行かなかった。
だが旦那が立ち上がり、私からリモコンを奪い取った。そして、チャンネルは変えられてしまったのだ。
無言でじーっと砂嵐を見る家族に私は恐怖を感じた。旦那に至っては、ツーと涙を流していた。その恐怖のせいで忘れていたが、息子の方に視線をやった。
息子は泣き止んでいた。それどころか満面の笑みで砂嵐を見ていた。私以外の家族全員が砂嵐をジーッと見ていた。次第に全員がツーと涙を流し始めた。
気がつくと、見たい番組のOPが始まっていた。五分間経ったのだ。全員がハッとしたように正気に返った。よかった、私が疲れていただけなんだ。旦那が私に言った。
「おい、なんで泣いてんだよ」
気がついたら私もツーと涙が出ていた。
これがストレスからの解放を意味するのか、はたまた私も砂嵐に魅入っていたことを意味するのかはわからない。ただ、これ以降は何事もなく家族は日常へ戻っていった。
























お腹の中にいた頃の音に近いとかで砂嵐の音で泣き止むというのは昔から言われていたね
あとビニール袋をガサガサする音も近い
ついでにタケモトピアノのCMと反町隆史のポイズンでも泣き止むらしい