足音を殺して玄関に近づくと、その光景に息を飲みました。
ドアノブが、生き物のように勝手に揺れていたんです。
その揺れに合わせて呻き声も響いて・・・
震える手で、ドアスコープに顔を近づけたら・・・
廊下には裸の男が背中を向けて立ち、苦しそうに身をよじって呻いていたんです。
その細く痩せた体が、不自然に震えて・・・
私はあまりの光景に、思わず叫び声を上げてしまいました。
「いやあ!ぎゃあああああああああっ!!」
すると、男はビクリと動きを止め、ゆっくりとこちらを振り向いたんです。
その顔は、見覚えのある、騒音のことで文句を言ってきた、あの・・・
男は慌てふためき、床のズボンを丸めると、廊下の奥へ走り去っていきました。
私は、震える指で警察に通報する間、頭の中ではふと、嫌な予感がしていました。
ドアノブが湿っていたのは・・・、赤茶色の錆びのようなアレは・・・
警察が到着するまでの時間、私は部屋の隅に膝を抱えて、ただ震えていました。
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穴二