私はフリーターなのだが
家から少し遠いところにある薬局のアルバイトへ
毎日車で通っている。
なぜわざわざ遠いところで働くのかと言うと
薬局の店長が私の先輩の友人で
その紹介で働けることになったからだ。
恩義のためにしかたなく足を伸ばしているということだ。
それでも、車の運転は好きだったし
ガソリン代もキチンと支給されるため
実際のところは、私は毎日楽しく通っていた。
紹介してくれた先輩は地元の不良なのだが
私がお世話になったこの薬局の店長も
思った通り元不良だった。
店長は悪事で一度逮捕されたことをきっかけに更生し
出所後は薬局で品出しのアルバイトをして食いつなぎながら
資格勉強を始めたそうだ。
やがて、登録販売者という医薬品の販売に必要な資格を取得し
数年間のアルバイト経験を経て店長職へと上り詰めた、まさに現場叩き上げの店長だった。
私が今でもこの仕事を続けられているのは
そんな店長の人間力や経験に惹かれたことが大きいのだろう。
そんな中で、とある夏の朝
通勤中にふと、ある事に気が付いた。
いつもの踏切で電車が過ぎるのを待っている時
毎日同じ車が自分の後ろに着いてくるのだ。
最初はさすがに怪しいと思ったが
すぐにストーカーの疑惑は晴れ去った
バックミラーでどんな人なのかを確認すると
おばあちゃんと孫であろう男の子が座っていたのだ。
男の子は戦隊ヒーローのポーズをして
楽しそうにおばあちゃんに話しかけている。
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