「先輩って幽霊信じますか?」
『信じるも何も、幽霊はいるからね。いるよ。ほんとに。』
「え、でもなんでそんなことが断言できるんですか?」
『会ったことあるからだよ。』
「そうだったんですか?でも先輩って霊感キャラじゃないじゃないですか。いつも合理的に考えてるイメージありますし。」
『合理的に考えた果てに幽霊は姿を現すんだよ。どれだけ科学的で説明しようとしても、その外側から彼らはやってくるから。』
「外側?」
『そう。常識の世界では当然会えないよ。僕たちが普段生きてる世界だと絶対に無理。』
「じゃあ、先輩はどうやって幽霊と会ったんですか?」
『気になるのはわかるんだけど、どうしてそんなに幽霊を見たがるの?別におもしろいもんじゃないんだしさ。もう忘れなよ。』
「お願いします。教えてください。一度見てみたいんです、幽霊。」
『教えることはできるし、実際誰でも見れる。でも見た後こそが大事なんだよ。そのケアは僕にはできない。』
「ケア?」
『そう、ケア。』
「憑かれちゃうとかですか?それか見た目が怖くてトラウマになるとか。」
『まあ、それは間違っちゃいない。だけど幽霊を見るってのはそんなことじゃないんだよ。』
「見たらどうなるんですか?」
『僕みたいになるか、それ以外か。それ以外のパターンは、ほら。よくある怖い話の結末と同じだよ。』
「死ぬ、とか…?」
『実際に見てみないとわからないよ。』
「お願いします。見る方法を教えてください。」
『分かった。自己責任だよ。』
「はい」
『幽霊はね、いないと思っている人のところにやってくる。いわば存在証明だよ。【私はここにいる】ということを見せつけに来るわけだ。』
『【幽霊なんていない】ということを、自分にも、世界にも常に言い聞かせるんだ。ただそれだけ。』
「言い聞かせる?」
『僕は毎日鏡に向かって言い続けたよ。【お前なんかいない】って。まるでそこに幽霊いるかのように、そいつを罵倒した。墓地に行って一人でもした。とにかく幽霊を挑発するんだよ。全部子供じみた行為だけどね。』
「いつまで続けたら見えたんですか?」
『7年間だよ。大学生になりたての頃からずっと。』
「なんでそこまで、霊を見たいと思ったんですか?」























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