僕の彼女、リナは少し情緒不安定なところがある。
いや、「少し」どころじゃないかもしれない。
気に入らないことがあるとすぐ泣くし、LINEの返信が遅れただけで「私のこと嫌いになった?」と騒ぐ。
一度、友達と飲みに行っただけで「浮気したでしょ?」と包丁を突きつけられたこともある。
別れたい。
でも、別れ話を切り出したら何をされるかわからない。
だから、僕はリナに愛想を振りまきながら、静かにフェードアウトする機会を伺っていた。
そんなある日、リナから突然電話がかかってきた。
深夜2時。
「もしもし……?」
「ねえ、今どこにいるの?」
「え? 家だけど……」
「嘘つき。今、家の前にいるけど、電気ついてないよ?」
背筋がゾワッとする。
確かに、部屋の電気は消していたが、それを外から確認しているということは――。
「……え? なんで、うちの前にいるの?」
「だって、会いたいんだもん。開けて?」
ゾクリとする違和感。
でも、ここで変に刺激したらヤバい。
「……ごめん、今日は疲れてるから、また明日……」
「ふぅん……そうなんだ……」
突然、リナの声が遠のいた気がした。
同時に、僕のスマホの通知音が鳴る。
LINEの着信。
送られてきたのは、僕の部屋の窓の写真だった。
カーテンの隙間から、僕がスマホを耳に当てている姿が映っている。
「やっぱり、嘘つきじゃん」
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