結局朝まで眠ることができず、少し明るくなって来てから下山を開始しました。
天気が持ち直したこともあり、4日目の日没前に山小屋に到着することが出来ました。
メインの登山道との合流地点でもあるため、山小屋には何人か登山客もいて、とても安心したのを覚えています。
山小屋の主人に事情を話し、ご遺体の収容のため各所に連絡していただきました。
結局、ご遺体が白骨化していたこと、悪天候の中ご遺体を収容するのは遭難の危険があること、現場検証の必要があることなどを踏まえ、5ヶ月後の雪解け後にご遺体は収容されました。
さむい、さむい、たすけて、と私に訴えかけた故人の無念を思うと今でも辛い気持ちになります。
きっと雪洞を作ることも出来ず、あの岩陰で息を引き取ったのでしょう。
雪洞を作り、1人ぬくぬくと寝ていた私が羨ましかったのでしょうか?
どうすることも出来ない絶望の中、亡くなった故人の最後の声だったのかもしれません。
この出来事があった後も登山は続けていますが、雪洞を必要とするような登山は避けるようになりました。
皆様も遭難者のご遺体を見かけるようなことがありましたら、心を強く持って死に引っ張られないように気をつけください。
故人のご冥福をお祈りいたします。
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