俺は目標にしてる先輩を庇う形でなんとかその会話をなおざりにしたのだった。
おばはんの追撃はしつこい。
次の日、昨日よりさらに増えたノルマにゲンナリしながらなんとか仕事を終えロッカーで着替えていた時の事。
胸の谷間に溜まった汗を指で拭いて、試しに嗅いで、案の定「くっさ」と1人ウケているとなんだか少し疲れたような顔をした石野さんが隣りで着替え始めた。
「あ、お疲れ様です」
「え、あーうん……お疲れ」
「大丈夫ですか?なんか疲れてます?」
「うん……ちょっとね」
どう見たって疲れてる石野さんの、着替え姿を見て、ほう、今日は黒ですか、と変に欲情していると、昨日のおばさん達の、見える見えないの、話を思い出した。
石野さんは、間違いなく俺たちと同じ、見える側の人間であり、そもそも情報収集をするならば、見えない人に聞くより、見える人に聞くのが1番手っ取り早いではないかという、至極真っ当な発想に至った。
なんでもっと早く気づかなかったのか。
明らかに仕事で疲れてる石野さんに、申し訳ない、と思いつつも、俺は尋ねた。
「あ、あの石野さん、ここで働いてて、なんか、変な物とかって、よく見ます??あの、壁に張り付いてた奴とは、別で」
「え?……あーそうだね、いろいろと…ていうか、やっぱ調べてるでしょ、あれについて」
シャツのボタンを締めながら石野さんは冷ややかな視線を向けてくる。
「前も言ったけど、あんなのまともじゃないんだから、関わらないのが無難だよ、好奇心猫を殺すって」
「ま、まぁまぁ…で、どうです?実際変なのって見ます??」
「え?あー、まぁそうだね…例えば」
そこで先輩おばやん達が4人ほど一斉に更衣室へと入ってきた。
「いやぁ全く、15階の5号室のお客様には困っちゃうわね……田辺さんなんて今日清掃中に追い出されちゃったらしいわよ〜」
「らしいわね〜、それで石野さんが代わりに入ったって聞いたわ、ね?石野さん??」
「え?あーはい、そうですね…」

























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?