「そうよ〜?私だって霊感ある方じゃないんだけどね〜、あそこはすっごく嫌な感じするの」
昔から言われているという事はつまりあのデカイ幽霊が2号棟の壁に出現する前から、あの2号棟では何かと心霊的な噂が耐えなかったという訳か。
「その、田辺さんは何を見ちゃったんですかね?」
先程盗み聞きした会話の全容を探る。
こういう地道な調査は鎖との行動でもう慣れてきている。
「あーそうそう、なんでもね、田辺さん昨日2号棟の清掃だったらしいのよ」
おばさんは順序立てて説明するのが苦手なようで話が不必要に分岐したり、展開が飛んだりでなかなか話の全貌を理解するのに時間を要したがまとめるとこういう事らしい。
昨日2号棟のとある階の清掃を任された田辺さんはいつも通り客室の清掃をこなしていた。
基本的に俺たち清掃員は、ドアを開けっ放しにして客室の清掃に入る訳で、廊下の様子がいつでも分かるようにしている。
そして、田辺さんが既にチェックアウト済みの部屋を清掃していると廊下を私服の女性が通りかかったそうだ。
隣りの部屋は連泊されているお客様だけだったのでどのタイミングで清掃に入るか聞こうと思った田辺さんはそのお客様を追う形で廊下に出たのだが、廊下に出て見るとそのお客様はおろか誰も居なかったとの事。
割と間髪入れずに追いかけたのだから、これは心霊的現象で確定というのが田辺さんの見解らしい。
「そういえば渡辺さん見えるんですって?」
「え…そんなの誰に聞いたんですか」
「もっぱらの噂よ〜渡辺さんと石野さんが気持ち悪い会話してたって、で?で?見えるの??」
あの時のおばやん2人か。
女社会は噂が広がるのが早い。
そういえばバイト初日に一緒に休憩したおばさんと会話の成り行きで実は自分が履歴書をちょっとだけ誤魔化して書いた事を話して「誰にも言わないでくださいね」と言った際「言わないわよそんなの」と確かに聞いたはずなのに、次の日にはみんなに知られていた事を思い出した。
この職場では変な噂を流されると厄介なのだ。
「いやぁ…なんも見えないですよほんと…あの時は好きなアニメの話してたんですよ〜……ははは」
「あら、ほんとかしら〜?でも石野さんもたまに誰も居ない所をじっーと見てたりするのよ〜だからもしかしたらって思ってね〜」
「は、はは……たまたまぼーっとしてただけだと思いますけどね」
























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?