「いくらスイートルームのお客様だからって甘やかしすぎなのよね〜」
どうやら客の愚痴でおばさん達は盛り上がっていたらしい。
ここで石野さんとオカルトの話を続けたら非日常を求めるハイエナ達の餌食になってしまうのは明白だった。
石野さんも同じ思考に至ったのか、小声で「後で話そう、これ付き合える?」と口元に人差し指と中指を立てて2回ほど振った。
一服のポーズ、なるほど、喫煙所か。
「おっけーっすよ」の意を込めて指でGoodマークを作って石野さんに送った。
その後パートおばさん達が振ってくる話題に適当に返しながら俺と石野さんはそうそうに着替え更衣室を後にした。
「ふー…やっと吸える」
石野さんは喫煙所に着くとそうそうに胸ポケットからタバコとライターを取り出しておもむろに一服を始めた。
俺はもちろん吸えないので代わりに自販機でジュースを1本買った、というか石野さんに奢ってもらった。
「ちょっと煙くなるけどごめんね」
「あーいえいえ、母さんが吸ってるので慣れてます」
「ふーん」とまぁ珍しくもないねといった反応で軽く返し、少し節目になりながらZIPPOで口に加えたハイライトに火をつける。
なんか、タバコに火をつけてる瞬間って色気あるな。
ZIPPOをカチャンと閉じて天井に向けて紫煙をくゆらせると石野さんはオカルトに話題を戻した。
「このホテルさ…霊道あるんだよね」
「え、霊道!?」
霊道、つまり霊や妖が通る道の事か。
霊道については過去に何度か調べた事があるし、実際自分でも見た事がある。
霊道は本来、寺や神社、海外だと神殿やピラミッドなどの歴史的建造物を地図上で見た時にそれらの建造物の位置を繋げると何故か1本の線になるというレイラインという現象から派生している言葉なのだが、現代日本ではもっぱら霊達が何故か列をなして特定の場所を通るあの現象の事を指している。
開口1番にデカイ情報をぶち込んできた。
やっぱり聞いて良かった。






















けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?