やはりこの変人は人と関わる事を極力避けて生きているのだろうか。
しかししばらくして鎖は口の中の物を嚥下するとポツリと言葉を返した。
「あなたには…あの席はどう見えているの?」
質問に質問で返すなと、いや、ここは素直に答えるべきか。
「どうって………うーん……俺には…毎朝なぜか空いている席としか」
「俺……?」
「ん……なに?」
「…………」
なんか変な事言っただろうか。
しばらくの静寂が流れた後、鎖はまぁいいかという風になにか解せない事柄をスルーしたようだった。
「教えてあげましょうか?……あの席が…私にはどう見えているか」
「え……いや…同じだろ……それとも俺とお前には別の物が見えてるって言いたいのか」
「私とあなた……というより…私達とあなたの区切りの方が正確かもしれないわね……」
発言の後、少しして鎖は自分の人差し指を下唇の辺りに当て「いえ……私の場合……また少し違うように見えているのかもしれないわね」とこれは俺に向けた言葉と言うより独り言に近かった。
勝手に1人で納得されては困るという念を込めた視線を鎖にぶつけているとそれに気づいた鎖はため息をついて問に答えた。
「私には……あのバスに空いている席なんて、見当たらないわ」
「は?」
意味が分からない。
はたして鎖は目が悪いのだろうか。
いや、目がいい悪いの話しをしてるんじゃないんだろうなという事ぐらいは分かる。
つまり。
「俺とお前じゃ本当に違うものが見えてるって……言いたいのか」

























えっ、最後びっくりした
「床に落ちた何か」てなんだったの?