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kanaさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

自慢してきた猫
短編 2024/12/14 07:34 1,902view
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いつからだったか、ボクは野良猫と友達になっていた。
最初は暑い真夏の夜だったか。
コンビニ帰りのボクは地面にベタ~っと横たわる猫を見つけて、思わずそばに近寄った。
元来猫好きなのである。子供のころにはずっと猫を飼っていた。
だが、大人になって一人暮らしを始めてからは猫とは縁がない。
マンションはペット禁止だし、何より高校くらいの時からネコアレルギーを発症してしまい、猫が大好きなのに触れないという悲劇に見舞われた。とても悲しい。

ボクはコンビニで買ったおやつのクリームサンドの端っこをちぎって猫に与えてみることにした。・・・食べた。「猫って、パンも食べるんだなぁ」感心しながら少し撫でてやった。
さっきも言ったが、ボクはネコアレルギーである。この猫を撫でた手は厳重に硬直させ、
絶対自分に触らないようにしながら足早に帰宅した。
帰宅してすぐに手を洗い、何とか助かった。

それからたまにその猫に会うようになった。だから、次に会った時のために猫缶などを買って用意しておいたりもした。ペットとして飼うことはできないが、そうしてたまにエサなど与えているうちに今度は猫がプレゼントを持ってくるようになった。

捕まえたカマキリを見せびらかしてきたり、ネズミを捕まえて見せに来た時もあった。
猫がこうしてプレゼントを持ってくる理由はいくつかあって、ひとつは人間の事を
狩りの下手な猫だと思い込んでいて、狩りの仕方を教えようとしているのだと言う。

そしてもうひとつの理由が、捕まえた獲物を見せびらかして自慢したい、
褒めてもらいたいというものだ。おそらくコイツの場合は後者。
たぶん自慢したいのだろう。だって、ドヤ顔で持ってくるのだから。

捕まえてきたネズミをボクの目の前で食べたこともある。
「うわ~マジか・・・」と思いながら見る。
猫はまずネズミの前足から食べ始めた。細い前足をカリカリと噛んでいく。
やがて前足のあったあたりにできた傷口をきっかけにして皮膚を裂き、肉を食い破り、
内臓を食べ始めた。

「さすが、野生・・・」野良猫のサバイバル術を見たような気がした。

さて、残念ながらせっかく友達になったその猫とも、お別れする時が訪れた。唐突にだ。

ある日、猫がまたしてもプレゼントを持ってきて、それをボクに見せびらかした。
なにかふにゃふにゃしたようなものを咥えてきて、ボクの目の前に置いて見せた。
「なんだぁ?」と思ってよく見てみると・・・「うわぁぁ!」ボクはのけぞっていた。

それは、間違いなく人間の耳たぶであった。
「お、お、おまえ、コレどうしたんだよ!!」思わず猫に問いただした。
僕のオーバーリアクションを見て満足したのか、猫はその耳たぶにかじりついた。
「や、ヤバイ、耳を食べるな!!」
ボクは慌てて、猫をつかんで少し遠くへ放ってやった。
それに驚いたのか、猫は恨めしそうにこちらを一瞥した後、そそくさと逃げて行った。

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