午後9時過ぎにいつものごとく仕事を終え入口扉の鍵を掛ける。
それからジャケットの襟を立て目の前の薄暗い歩道をとぼとぼと駅へと歩き始めた時だ。
背後に気配がして驚き振り返ろうとした瞬間だったと思う。
いきなり頭部に強烈な痛みが走り、目の前をキラキラ星が舞った。
それから次に目を開いた時には、病室の白い天井が視界に飛び込んできたんだ。
後から訪ねてきた警察の人の話によれば、
あの日店を終えた後歩道を歩きだした俺の背後に何者かが忍び寄り棒状のもので殴ると、その日の売上金の入ったバッグを盗み逃走したということだった。
防犯カメラの解析や目撃者の情報を募っているが、未だに犯人は捕まっていないと言ってたな。
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検査の結果は幸か不幸か頭部打撲による軽い脳震盪ということだったようで、俺はその後1週間ほどで退院をする。
確かに売上金を失ったことは痛かったが、その時はまあ命あっての物種と思うようにして前向きに考えるようにしたよ。
ただそんなことよりなにより、この事件は俺におかしな副産物をもたらしたんだ。
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それは店に復帰した初日のことだった。
俺の店はカウンターに六人ほどしか座れないくらいの小さな喫茶店だ。
店内にある椅子やテーブルは木製のアンティークなもので統一し壁には懐かしいミュージシャンの映るレコードジャケットとかを飾っていて、昭和の時代にあった【純喫茶】を彷彿させると客に言われたこともあった。
そのカウンターの奥に立ち、道路側にある飾り窓から射し込む朝の気だるい日差しをボンヤリ眺めていた時だったと思う。
からからからぁぁぁん、、、と小気味よい音で木製の扉が開く。
━そんでな、うちの彼氏最低なんよ、、、
━ええ!何が何が?、、、
若い女性のお客二人が賑やかに喋りながら入ってきた。
























「焼け跡から4人の遺体が発見された。」って書いてるのに「Aさん(55歳)、その妻Bさん(43歳)、息子のCさん(23歳)」で3人しかおらんない…?
やばっ!おっしゃる通りですね
ご指摘ありがとうございます
お恥ずかしい限りです
すぐ訂正します
━ねこじろう